書名: |
御勅使川 |
著(訳)者: |
小田切常雄 |
発行社(者): |
銀河書籍 |
印刷所名: |
(有)ニシダ印刷 |
サイズ: |
四六判 |
ページ数: |
291 |
発行年月: |
2020(令和2)年01月12日 |
分類: |
(03) 文芸=小説部門 |
定価(本体): |
定価(本体)1364円 |
<内容紹介>
甲斐国の甲府盆地は遥か昔、大雨の度に山々から流れる土石流によって形成された。しかし、百姓は土石流によって田畑、家、尊い命さえ奪われた。特に荒れ狂った川は御勅使川(みだいがわ)である。時の領主、武田信玄は治水事業に取り組むが、道半ばで没する。事業を継いだ徳川幕府も暴れ川の制御に難儀する。扇状地特有の降れば洪水、照れば旱魃という苦難に一人の男が立ち上がった。彼の行く手を阻むは魔物と化した大自然である。「忘己利他(もうこりた)」の精神で挑むが、権力の抵抗も加わり成功はおぼつかない。悍ましい事件の為に離別した初恋の女性も恩ある人の為に「忘己利他」の精神でふたりの再会は先が見えない。男の壮大な構想は実らなかったが「遣らずして出来ないとは言わぬ」の執念は240年の歳月の後、結実する。この世の全ての業は誰かがどこかで口にしたことで始まる。すべからく人は夢を描き、それが人々の希望であるならば語るべきである、と結ぶ。敢えて成功物語にはしなかったが「諦めるな」という私の情熱を著した積りだ、果たして読者にどこまで届くか?