部門 | 応募点数 |
・地域文化部門 | 292 |
・個人誌部門 | 543 |
・文芸部門 | 559 |
・研究・評論部門 | 251 |
・グラフィック部門 | 137 |
合計 | 1782 |
選考中、私(筑井)は、審査後の記者会見用の資料作りにかかっていて、審査中の細かいニュアンスは追えないのですが、思い出す限りで、この他に審査員が印象深いとしてあげた作品を紹介します。(以下はあくまで個人的な感想で、審査委員会の正式意見ではありません)
<地域文化部門>
「秩父の祭と行事」は写真による記録というオーソドックスな作りと貴重な内容が評価された、この他で特に話題に上ったのは「近江中山芋くらべ祭」の3部作。鎌田委員、色川先生とも内容を評価」していたが、最終的にはこの著作が個人ではなく、保存会の手によってまとめられたことがマイナスになったようだ。
「ウトロ」「ヒタカミ黄金伝説」「聞き書き、マタギの残影」も話題に上ったが、最終的に個人の数十年にわたる記録という意味で、「秩父の祭と行事」になった。
<文芸部門>
主として、中山委員が意見を披露。「わが酒屋うた」、「百姓読」その他いくつかの短歌、句集も話題になったが、短歌、句集の選考の難しさも述べられた。
「百姓読」はそのユニークな発行形態も考慮されて特別賞に。
<研究評論部門>
長編大作が多く、色川、鎌田という両巨頭が選考にあたった部門。話題に上ったのは「三島由紀夫解釈」「若山喜志子私論」「小倉と原爆」「七人童子怨霊考」など。
地域部門の「ウトロ」も同様だが、政治からみのグループで発行したような書籍はわりに冷遇されたようだ。「若山喜志子私論」はなんといってもそのボリュームに圧倒されたようだが、短歌新聞社から出ていることなども配慮された。審査員の先生方はあくまで自費出版文化賞という賞の性格にふさわしい作品を選ぼうとしていたことが全体的に感じられた。「若山喜志子私論」は特別賞ということになった。
<個人誌部門>
伊藤、土橋両先生は、事前に話し合いを行っていたようだが、期せずして評価が一致したのは「学童疎開体験」とのこと。色川先生も中を読んで「しっかりした内容」と評価。さらに伊藤委員が「行李と花と海」を推薦。自費出版の見本のような本で、専門家から見てもよく作られていると述べ、どちらも推したいと述べたところで、「学童疎開体験は大賞候補でどうでしょう」と色川先生。
このあたりで、全体の賞の様子が見えてきた。
土橋委員は「国の大儀の名のもとに」「私のアルバム日記」「タイ山岳民族カレン」「ありがとうが言いたくて」を印象に残ったとあげ、特に「ありがとうが言いたくて」は伊藤委員も気になるとのこと。若い人の作品ということもあり、奨励賞という部門が作られた。
<グラフィック部門>
先生方の個性が発揮されたのがこの部門。「蝶からのメッセージ」「ボタニカルアート画集」などは「確かにきれいだがただそれだけ」と中山委員。
対して「岡山の面影」は「本当に自費出版の良さをだし、貴重な資料でもある。他の地域でもやってほしい」と色川先生の推薦もあり決定。
問題は「オール見世物」。話題になった時間はこれが一番かもしれないが、内容的(表現)な問題で、委員長は「賞にはしないがどこかでコメントをつけておく」ことで決着。
部門 | 書名 | 著者 | 年齢 | 職業 | 著者住所 |
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(02)個人誌部門 | 学童疎開体験(がくどうそかいたいけん) | 岩本 晢 | 1934年生まれ | 技術翻訳業 | 神奈川県大和市上和田446-1 |
部門 | 書名 | 著者 | 年齢 | 職業 | 著者住所 |
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地域文化部門 | 秩父の祭と行事(ちちぶのまつりとぎょうじ) | 堀口英昭 | 1931年生まれ | 無職 | 埼玉県秩父市中宮地町6-18 |
個人誌部門 | 行李と花と海(こうりとはなとうみ) | 松井ソノ | 1915年生まれ(故人) | 神奈川県相模原市桜台10-7 | |
文芸部門 | 詩集 募集(ぼっしゅう) | 赤山 勇 | 1936年生まれ | フリー | 香川県高松市多肥上町2326-4 |
研究評論部門 | 七人童子怨霊考(しちにんどうじおんりょうこう) | 曽根幸一 | 1944年生まれ | 地方公務員 | 香川県三豊郡豊中町笠田笠岡640-16 |
グラフィック部門 | 岡山の面影(おかやまのおもかげ) | 多田 光 | 1955年生まれ | 会社員 | 岡山県岡山市東畦671-30 |
賞名 | 書名 | 著者 | 年齢 | 職業 | 著者住所 |
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特別賞-1 | 百姓読(ひゃくしょうよみ) | 三田村順次郎 | 1934年生まれ | 農業 | 福井県鯖江市下新庄町31-34 |
特別賞-2 | 若山喜志子私論 | 口昌訓 | 1933年生まれ | 長野県塩尻市広丘原新田353-4 | |
奨励賞 | ありがとうが言いたくて | 林直美 | 1974年生まれ | 東茨城郡茨城町小幡367-3 |
部門 | 書名 | 著者 |
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地域文化部門 | 明治末期の暮し―丹後の宮津にのこされた資料より | 西川久子 |
地域文化部門 | 近江中山芋くらべ祭り | 岡本信男 |
地域文化部門 | 野仏巡礼 | 三村正臣 |
地域文化部門 | ウトロ―置き去りにされた街 | 地上げ反対!ウトロを守る会 |
地域文化部門 | ヒタカミ黄金伝説 | 山浦玄嗣 |
地域文化部門 | 秩父の唄―秩父山村民謡2 | 栃原嗣雄 |
地域文化部門 | 聞き書き―奥羽山系に拾う―マタギの残映 | 郷右近忠男 |
地域文化部門 | 玉野の治山 | 砂走正義 |
地域文化部門 | 私のサイノカミ(道祖神)入門 | 原本哲也 |
地域文化部門 | 秩父の祭りと行事 | 堀口英昭 |
地域文化部門 | 中山史―芋くらべの里 | 岡本信男 |
地域文化部門 | ケセン語入門 | 山浦玄嗣 |
地域文化部門 | あそぼうよ―上尾子育て情報マップ1996 | 育児ネットワーク |
地域文化部門 | じゃごたろバンザイ―胆沢町の夏96トンボと蛍すむ水の郷づくりの記録 | 渡辺美智子 |
個人誌部門 | 一粒の山椒の実―ポストマン人生40年を生きた | 松島文雄 |
個人誌部門 | 私のアルバム日記、昭和史の試み | 大沢三好 |
個人誌部門 | ひとり生かされて、戦争孤児の歩み | 中島弘子 |
個人誌部門 | やれば開ける見えてくる―山畑生活・老後の10年 | 谷勝三 |
個人誌部門 | ありがとうが言いたくて | 小林直美 |
個人誌部門 | 行李と花と海 | 松井ソノ |
個人誌部門 | あるかぐや姫の旅立ち―さよかよ安らかに眠れ | 浮舟宣武 |
個人誌部門 | 鈴鹿源流 | 辻涼一 |
個人誌部門 | タイ山岳民族カレン―国際保険医療活動の現場から | 大森絹子 |
個人誌部門 | マニラ新聞―私の始末記 | 青山広志 |
個人誌部門 | 国の大義の名のもとに―草莽の証言・私の昭和史 | 前田忠広 |
個人誌部門 | 学童疎開体験 | 岩本 晢 |
文芸部門 | 百姓読 | 三田村順次郎 |
文芸部門 | みえない月 | 一見幸次 |
文芸部門 | 津和野 | 三浦義之 |
文芸部門 | 秧鶏の唄 | 友清恵子 |
文芸部門 | 募集 | 赤山勇 |
文芸部門 | 「火」以後 | 渓さゆり |
文芸部門 | 時雫 | 槙みちえ |
文芸部門 | 秘色 | 岡田貞峰 |
文芸部門 | まんさくの花 | 的場信輝 |
文芸部門 | わが酒屋うた | 高木謙次郎 |
研究・評論部門 | 三島由紀夫解釈 | 島田亨 |
研究・評論部門 | 陸前の大梅寺 | 高橋巖 |
研究・評論部門 | 若山喜志子私論 | 樋口昌訓 |
研究・評論部門 | 小倉と原爆 | 工藤瀞也 |
研究・評論部門 | 七人童子怨霊考 | 曽根幸一 |
研究・評論部門 | 水俣から未来を見つめて | 水俣病訴訟弁護団 |
研究・評論部門 | 抗日漫画戦史―中国漫画家たちの15年戦争 | 森哲郎 |
研究・評論部門 | 邪馬台国の位置と日本国家の起源 | 鷲崎弘朋 |
研究・評論部門 | 欽明という時代 | 池田定通 |
研究・評論部門 | 近江の連歌・俳諧 | 木村善光 |
グラフィック部門 | 四季丹沢 | 白井源三 |
グラフィック部門 | 石橋の詩 | 上原晴夫 |
グラフィック部門 | ふるさと長良川 | 後藤亘 |
グラフィック部門 | 蝶からのメッセージ | 難波通孝 |
グラフィック部門 | 関東の風景 | 小泉実 |
グラフィック部門 | ボタニカルアート画集 | 沢田佳歩 |
グラフィック部門 | 岡山の面影 | 多田光 |
グラフィック部門 | 大陸に燃えた日々―開拓義勇軍とシベリア抑留思い出の画集 | 増田昭雄 |
グラフィック部門 | 鎌倉行進曲 | 五十嵐英壽 |
グラフィック部門 | 草かげの小径 | 北原礼子 |
グラフィック部門 | オール見世物 | カルロス山崎 |