書名: |
多奈川線 |
著(訳)者: |
中村 勲 |
発行社(者): |
風詠社 |
印刷所名: |
シナノ印刷 |
サイズ: |
四六判 |
ページ数: |
186 |
発行年月: |
2024(令和6)年12月13日 |
分類: |
(03) 文芸=小説部門 |
定価(本体): |
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<内容紹介>
岬町の過疎化が止まらない。多奈川線も昼間は1時間に1本の運行に減便された。岬町のみんなが抱く不安。私はそんな気持ちに突き動かされるようにペンを取り、小説「多奈川線」が誕生した。小説では、現在と古代の岬町を舞台に少年の異性への想いと成長を軸に、「人と町の再生」を平易な文章で描いた。人は誰でも負の体験をする。奈落の底に落ちてしまいそうな時だってある。そんな時、一歩手前で手を差し伸べてくれるものがある。救ってくれるものがある。燃えるような夕焼け、日没前の海面に映る一筋の光の道、古代からのごちそうのように思える潮の香り。声をかけてくれる大人、そして2両の多奈川線までもが見守ってくれる。青春の入り口に立った少年たちの爽やかで温かく、そして切ない物語である。
また、この小説で注目してほしいのは、軍需工場で密かに実施された数学の授業だ。支配されているソウル大出身の「金さん」が、支配している国の将来エリート候補生の旧制中学生に「進学を考えているんだろ。僕が数学を教えるよ」と言って車座になって幾何を教える。この民族を超えた人間愛を後世に伝えたいと思った。